接地とは、英語で「earth(アース)」といい、さまざまな設備、構造物を導体によって大地と電気的に接続することです。
接地が施される代表的な設備としては、電気設備(電量、通信、無線等)と避雷設備(避雷針、架空池線等)があります。
他にも、誘導障害防止用、電気防食設備、静電気除去用など、多くの施設に設置が使用されています。
異常時における急激な電位上昇、高電圧の侵入などによって、感電や火災事故等の人体に影響を及ぼし、
建物への損害を与えるおそれがないようにするための安全措置を目的として行う工事を『接地工事』と言います。
1.電気器具などの金属製外箱を接地する機器接地の目的
(1) 人等に対する感電を防止
(2) 漏電による火災を防止
(3) 保護装置(漏電遮断器、漏電警報器)を確実に動作させる
2.変圧器低圧側の中性点を接地する系統接地の目的
(1) 変圧器内部の混触事故により低圧側の電路に高い電圧の侵入を防止
接地工事種類
1.機器接地
(1) A種接地工事・・・高圧用または特別高圧用の機器の外箱または鉄台の接地
(2) C種接地工事・・・300Vを超える低圧用の機器の外箱または鉄台の接地
(3) D種接地工事・・・300V以下の低圧用の機器の外箱または鉄台の接地
2.系統接地
(1) B種接地工事・・・高圧または特別高圧と低圧を結合する変圧器の中性点の接地
工事種類 | 工事概要 |
A種工事(第1種) | 高圧・特別高圧機器の金属製外箱等 |
B種工事(第2種) | 高圧・特別高圧電路と低圧電路を結ぶ変圧器の低圧側端子 |
C種工事(第3種) | 300Vを超える低圧機器の金属製外箱等 |
D種工事(特別第3種) | 300V以下の低圧機器の金属製外箱等、計器用変成器の二次側電路 |
接地工事のそれぞれの工事の概要をまとめたのが、上記の表になります。
接地の工法
接地工事を行う際の工法をいくつかご紹介します。
一般的な接地工法
1.打ち込み工法
連結式接地棒を地表から打ち込むだけの、比較的簡易な施工法。接地棒は地表から深さ1.5~3mほど打ち込む。
地中に砂利などの障害物のないところに適した工法。
2.ボーリング工法
ボーリングマシンを使用して穴を掘削し、電極と導電性物質を充填する工法。
掘削穴の直径は60~100mm、深さ最大100m程度。
3.接地銅板
銅板を埋設する工法。銅板は地表面に対して水平または垂直に埋設します。避雷設備の接地に多く用いられる工法。
4.埋設地線工法
地線(銅線等)を地表面に対して水平に埋設する工法。地線の施工形状に決まりはなく、自由な形で埋設します。
この中でも、地線を網目状に敷設する施工法は、網状接地(メッシュ接地)と呼ばれます。
接地抵抗低減材を用いた接地工法
1.セメント系
埋設地線の周囲に、導電物質が含まれた導電コンクリートを敷設する工法。
山岳地や砂れき地など、広範囲の接地に適応できる。
2.電解質系
施工箇所に電解質系の接地抵抗低減材を使い、土壌の大地抵抗率を下げる。
接地工事の目的、種類や工法についてご紹介いたしました。
接地工事は安全の観点から欠かすことのできない重要な工事の1つです。
特に接地工事においてよくある注意点は設計を間違えると何度も地中を掘ってしまうので、
十分に設計から測量などを行う必要があります。