生活や仕事に欠かせない電力ですが、ビルや工場などでは『キュービクル』と呼ばれる高圧受電設備が使用されています。
ビルの駐車場や屋上に、「変電設備」などと書かれた大きなロッカーのような箱が設置されているのを
見かけたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このロッカーのような箱が「キュービクル」で、電圧を変換する機器を収めるためのものになります。
本日は、キュービクルについてお話させていただきます。
キュービクルとは
キュービクルとは、発電所から送られてくる6,600Vの電気を、施設で使える100Vや200Vの電気に
変圧する機器を金属製の(筐体)に収めたものです。
正式名称は『キュービクル式高圧受電設備』。
JIS規格で『キュービクル式高圧受電設備(JIS C 4620)』と定められています。
キュービクル(Cubicle)とは立方体を意味する「キューブ(Cube)」から派生した言葉で、
パーティションで小さく区切ったスペースといった意味でも使用されます。
キュービクル式高圧受電設備は、電力会社との電気供給契約が50kw以上、つまり電気をたくさん使用する
施設で受電するときに必要になる設備のひとつです。
商業施設や工場、オフィスビル、病院や学校などのさまざまな建物で使用されており、
主に駐車場や屋上に設置されています。
キュービクルの構成
外側だけを見ただけでは、ただの大きな箱のように見えるキュービクル。
その中には、発電所から送られてくる高電圧の電気を受け入れて、変圧し、
各機器に配電するための重要な危機がたくさん収められています。
変圧器はもちろん、断路器・負荷開閉器・遮断器など回路の開閉などを行う機器、保護装置、
電圧や電流などの測定・表示を行う計器類、コンデンサなどによって構成されています。
これらの機器が丈夫な箱に収容されているため、感電や停電といったトラブルを防止することにもつながっています。
キュービクル導入 メリットと注意
数ある受変電設備の中でも、キュービクル式高圧受電設備を導入するメリット、そして注意点は
どのようなものがあるのでしょうか。
メリット
□ 高い安全性
金属製の箱に機器を収納するため、充電部などがむき出しにならず、小動物などの侵入を防げることから、
感電・停電といったトラブルの発生を防止します。
また、屋外に設置する場合、開放形に比べて風雨や外気、日射の影響を少なくできるため、耐環境性にも優れています。
□ 設置が容易
キュービクルは工場で完成したものを出荷時(運搬)に1~3面毎に分割します。
現地への搬入から据付後に分割箇所の配線接続をすることで完成品となるため、現地で機器設置、機器間配線、
組立をする開放形よりも工期が短縮できます。
□ 狭い場所へ設置可能
キュービクル式高圧受電設備はコンパクトな筐体に機器を収納しているため、
駐車場や屋上などの比較的狭い場所にの設置することも可能。そのため、建物や土地にかかるコストも削減できます。
注意点
■ 内臓機器の大きさの制限
キュービクルは必要な機器をコンパクトに収納することに優れていますが、大きな危機の収納には限界があります。
一般的には、1,000kVAを超える大型の変圧器の収納は困難です。
■ 拡張性を考慮した設計が必要
キュービクル式高圧受電設備は一度設計すると、設備を拡張する場合に大きなコストと時間がかかってしまいます。
そのため、下記の点を確認する必要があります。
◆ キュービクル内に機器増設用の開閉器や、空き回路といった増設を見越した設計が行われているか否か
◆ 追加キュービクルのためのスペースや配線用のピットが施工可能か、フェンスを含めた用地確保が可能か
◆ 屋上にキュービクルが設置されている場合は、クレーンの吊り上げ作業に必要なスペースがあるかどうか、
吊り上げ時に公道を使用する必要が有るか
電気をたくさん使う施設では、必要不可欠な設備であるキュービクル。
コンパクトで安全性も高く、どんな施設でも設置しやすい受変電設備です。
導入を検討されている方の、参考に少しでもなれば幸いです。