電気料金は、昨年から約25%の激増となっています。財布や家計への打撃も大きく、SNSではしばしば悲鳴も聞こえてきます。 もちろん、今すぐできる節電も大切ですが、電気代の大幅な値上げによって、「将来的なことを見据えるなら、太陽光パネルを導入してもいいのかも」と考える人も増えたのではないでしょうか。とはいえ、導入には初期費用がかかり、何年くらいで元が取れるのかも気になるところ。そこで、太陽光パネル導入は、どれくらいの期間で元を取ることができるのか調査しました。
太陽光パネル導入に必要な初期費用
太陽光発電の導入には、太陽光パネル以外にも、パワーコンディショナーや架台などの設備を組み合わせる必要があり、それらを総称して「太陽光発電システム」と呼びます。 一般的な住宅用のソーラーパネルの容量は、3~5kW。経済産業省のデータによると、住宅に設置する太陽光発電システムの初期費用は計算上で78万3000円~130万5000円となります。 容量が増えることで発電量も高くなりますが、同時に設置費用も高くなっていきます。 1kWあたりの設置費用は年々低下していく傾向がありますが、用途に合わせた適切な容量の太陽光発電システムを導入することが、まずは大切と言えます。
太陽光発電システムの運用にかかる費用
太陽光発電システムは、設置して終わりというわけではありません。 安心して長く使い続けるためには、メンテナンスや部品交換などの定期的な保全が必要になります。 太陽光発電システムは、発電量の維持や安全性の確保のため、3~5年に1度程度の定期点検が推奨されています。業者によっても費用は異なりますが、1回の定期点検で、平均3万5000円程度の費用がかかります。
また、定期点検で製品の不具合や故障が発覚すれば、設備の修理や部品の交換などが必要になる場合もあります。 さらに、ソーラーパネルの下にハトが巣をつくってしまうなど、予期せぬトラブルに見舞われることがあります。こうしたトラブルは事前に対策することも可能なので、導入のタイミングで検討していくのがおすすめです。
元が取れるのはいつ?
初期費用が決して安いとは言えない太陽光発電。いつになったら元が取れるのか、シミュレーションしていきます。 ポイントは売電収入です。 太陽光発電で生み出し、自家消費しきれなかった余剰の電力は、電線を通じて電力会社に買い取ってもらうことができます。FIT制度によって、価格は太陽光発電を設置してから10年間は固定価格になっており、2023年に設置した場合は、1kWhあたり16円で売電することが可能です。 環境省のデータによると、日本の住宅用太陽光発電の年間発電量の平均は1kWにつき1215kWh。仮に、容量3kWの太陽光発電システムを導入した場合の年間の発電量は、平均3645kWhとなります。 自家消費しきれずに売電される電気の割合は、経済産業省が出している2022年のデータで平均68.8%。これらのデータから計算すると、年間2507kWhの電力を売電に回すことができるようになります。 以上の数値を元に計算すると、売電によって得られる年間収入は以下の通りです。 年間売電量2507kWh×売電価格16円=4万112円 また、2022年のデータによると、4人家族の場合にかかる月々の電気代は平均1万3948円です。2023年は電気代が25%程度値上がりしているので、その分を上乗せすると平均で1万7435円になり、年間(12ヶ月分)ではおよそ20万9220円になることが予測できます。 太陽光発電システムを導入することによって掛からなくなる電気代と売電収入を合計すると、24万9332円となります。 3kWの容量の太陽光発電システムの初期費用は平均78万3000円。 初期費用78万3000円を節約できる電気代と売電収入の合計額24万9332円で割ると、定期点検1回分にかかる3万5000円を考慮しても、計算上はおよそ3年4ヶ月で設置費用の元が取れることが分かりました。
まとめ
さまざまなデータを元に計算してみると、3年4ヶ月ほどで太陽光発電システム導入の元が取れることが分かりました。 一度元を取ってしまえば、そこからの売電収入は嬉しいお小遣い。電気代が大幅に高くなった今だからこそ、太陽光発電システムの設置を真剣に考えてみてもいいのかもしれません。
出典 経済産業省 資源エネルギー庁