電気設備工事において、弱電設備と強電設備に大きく分けることをご存じでしょうか。
最近では、「弱電」「強電」という区分けはあまり使用されなくなった名称ですが、
本日は、この違いについてご紹介いたします。
弱電
弱電とは、電気(電力)の利用方法として、通信・制御・情報に関する電気分野を指す用語です。
さらに、弱電設備は情報通信と防災設備、防犯設備等に分けられます。
これらの設備を総じて、弱電と呼びます。
弱電における利用目的は、電気設備では、
情報・信号をコントロールしている中心部から建物の必要部分に運ぶ動脈のことを言い、
このことを『弱電系統幹線』とも言います。
弱電設備に入る主な設備
①電話設備:固定電話や携帯電話等
②LAN設備:インターネット回線や光ケーブル、無線LAN等
③インターホン設備:玄関についている呼び出し装置(親機と子機で1組が基本)
④テレビ共聴設備:地上デジタル放送の受信、BS、CS放送も含む
⑤放送(非常)設備:非常放送設備と一般放送設備
⑥自動火災報知設備:火災を感知する設備
⑦ITVカメラ(監視カメラ)設備:防犯用の監視カメラ
強電
強電とは、電気エネルギーの輸送、およびその機械的エネルギー・熱エネルギーへの変換を扱う
電気工学の部門の俗称のことを指します。
強電設備とは、簡単に言うと高い電圧がかかる設備です。
大きなエネルギーを扱うことから強電とされることもあります。
また、おおよそ48V以上からが「強電」それ未満が「弱電」という分類がありますが、
この分類は現在ではあまり明確な境界ではないようです。
強電における利用目的は、電気設備では電気エネルギーを変電室の配電盤から、
建物の各部に運ぶ動脈の役割を果たします。
このことを『電力系統(強電)幹線』とも言います。電流・電圧では100V以上の交流を使用します。
強電設備に入る主な設備
①電灯設備
②動力設備
③受変電設備
④幹線設備
⑤自家発電設備
⑥避雷設備
弱電と強電の違い
弱電(電子回路) | 強電 | |
電圧 | 48V未満 | 48V以上 |
電気使用方法 | 信号の伝送媒体(信号ライン) | エネルギー(動力ライン) |
理論 | 電子工学 | 電気工学 |
電気設備における役割 | 情報・信号をコントロールしている中心部から建物の必要部分に運ぶ動脈 | 利用目的は、電気設備では電気エネルギーを変電室の配電盤から建物の各部に運ぶ動脈 |
弱電、強電にはこのような違いがあるのです。
「弱電」「強電」という電気を大まかに分類する言葉は現在ではあまり使用されなくなりました。
しかし、昔では大学や専門学校などで電気を学び就職先を決める際に「強電」業界か「弱電」業界かというような分類で
進路を聞きあったりしたそうです。
現在では、強電のみを主体とする設備やシステムはなかなかありませんし、同様に弱電のみを主体とするような設備や
システムもなかなかありません。
強電と弱電の技術が絡み合った設備やシステムが主体になっているのです。
「弱電」と「強電」の違いについて、ご紹介いたしました。
現在では、あまり聞かなくなった言葉ですが、電気技術を学ぶにあたって非常にわかりやすい分類です。
電気に関わりのない人ならば、あまり知らないであろうこの「弱電」「強電」という言葉。
これから、電気を学ぶ上で最初にわかりやすい分類方法ですので、この言葉を守っていきたいところですね。