目 次 ◆ 照度測定とは ◆ 照度測定の義務 ◆ 照度測定の規準 ◆ 照度測定の目的 ◆ 照度測定の方法 |
照度測定とは
照度測定とは「照度計で一般照明と非常照明の照度が規定以上あるか、どれくらい照度があるかを測定する検査」です。
照度測定の義務
照度とは、光で照らされている面の明るさの度合いのことで、単位は「ルクス」で表されます。
オフィスや工場など人が作業する空間の照明設備は、一定の照度を保つことが法的に義務付けられています。
法的根拠となるのは、「労働安全衛生規則」および「事務所衛生基準規則」第二章:事務室の環境管理(第10条)で、
「事業者は室(労働者を常時就業させる室)の作業面の照度を次の(下記)基準に適合させなければならない。
また、定期的に照度を点検しなければならない」と定められらいます。
点検の頻度は、6カ月に1回としています。
照度測定の規準
照度測定の規準は、JIS規格に定められていますが、推奨照度は作業内容や空間の用途に応じて異なります。
同じく「労働安全衛生規則」および「事務所衛生基準規則」第二章:事務室の環境管理(第10条)では、
作業内容で区分した照度の最低基準も示しています。
照度の最低値 |
精密な作業 | 300ルクス以上 |
普通の作業 | 150ルクス以上 |
粗な作業 | 70ルクス以上 |
照度測定の目的
照度測定の主な目的は、作業者が安全・快適に作業できる視環境を確保するためです。
その前提をふまえて、日本工業規格 (JIS)では以下の4つを照度測定の目的に掲げています。
● 照度が定められた規格または基準に適合しているかどうかの基礎データを得るため
● 照度が設計条件に適合しているかどうかの基礎データを得るため
● 照度の経時変化を求め、照明の保守・改善に必要なデータを得るため
● 各施設における照度を比較するため
照度測定の方法
照度測定をするときは、「照度計」を用いります。
照度測定の重要度および照度値に応じて、必要とする精度を満たす性能のある照度計を選択します。
デジタル形式が一般的です。照度計には以下の2種類があります。
● 光電池式:電源が不要
● 光電管式:低照度まで測定可能
照度計を用いた測定には、測定位置や測定点を決めたり平均照度を算出したりと、いくつかの段階を踏む必要があります。
照度測定の具体的な方法を順を追って確認しましょう。
測定位置を決める
特に指定がない限り、照度測定は水平面照度を測定します。
測定する高さは、室内であれば作業対象面の上面、もしくは上面から5cm以内。
指定がない場合は、床上80±5cm、和室では畳上40±5cmが基本です。
廊下や屋外では、床面または地面上15cm以下の高さとなります。
測定点を決める
測定点は、指定がある場合にはそれに準じた位置にします。
指定がなければ、照明設備の使用用途に合わせて測定領域を捕捉し、その領域内にくまなく測定点を配置。
通常は測定領域を等しい大きさの面積に分割した上で、分割線交点に1点ずつ測定点を取ります。全体で10~50点が目安。
測定して平均照度を算出する
空間全体の平均照度を測定するには、測定範囲を等間隔な縦横の分割線で分割された、
単位区域ごとお平均照度から算出しなければなりません。
単位区域ごとの平均照度は、通常は4点法による隅の4点の照度を測定して算出します。
一方、室内中央に1つだけ照明器具が設備されている空間では、平均照度の算出に5点法を用います。
測定して平均照度を算出する
測定結果が基準照度に達していれば問題ないため、照度等を記録してまとめます。
この際、測定の目的に応じて、測定方法に影響を与えうる事項を併記しておくと、
問題が生じた際に原因を把握する糸口になります。
具体的には、以下のような事項になります。
● 照明条件:光源および照明器具の定格や使用時間
● 測定方法:光源の周波数
● 環境条件:湿度・風・そのほか壁や天井などの表面状態 (色、反射率、汚れ状況など)
なお、測定結果が基準値に達していないときは、照明器具の交換や増設といった改善策を講じる必要があります。
照度測定時の注意点
照度測定をする際、正確さを期するための注意点は、JIS規格に記載されています。
主に「測定前」と「測定時」の2つに分けることができます。
測定開始前
● 原則として、電球は5分間、放電灯は30分間点灯しておく。
● 反射による影響を避けるため、測定者の服装は明度の低いものにする。
● 電源電圧を測定するときには、できるだけ照明器具に近い位置で測定する。
測定時
● 照度計受光部の測定基準面を、照度を測定しようとする面にできるだけ一致させ、かつ、受光部の受光面の中央を
通り測定基準面に垂直な直線か測定基準面に交わる点を、照度を測定しようとする点に一致させる。
● 測定者の影による反射が測定に影響を与えないように注意する。
● 測定範囲切換形の指針型照度計では0~1/4 範囲の目盛読取りは、なるべく行わないようにする。
● 測定対象以外の外光の影響(昼光など)がある場合には必要に応じてその影響を除外する。
● 多くの点の照度測定を行う場合、特定の測定点を定め、一定の測定時間間隔ごとに特定の測定点の照度測定を
行うなどして、照度測定中の光源の出力変動などを把握する。