電気工事を行う時は、工事目的に合った電線・ケーブルを使用します。
電気工事で使用する電線やケーブルは、ビニル絶縁電線(IV)やビニル絶縁ビニルシースケーブル平型(VVF)が
よく知られていますが、その他にも、HIV・EM-IE・CV・DVとさまざまな電線やケーブルがあります。
電線とケーブルの違い
建物の屋内に設置している分電盤から電気をコンセントや照明器具に送るには、電線管に収めた電線やVVFなどの
ケーブルを造営材に固定して配線するのが一般的ですが、電線とケーブルは何が違うのか知っているでしょうか。
電線
電線には、絶縁電線と裸電線があります。
建物の屋内・屋外配線では、単線やより線の導体のまわりを、塩化ビニルや耐熱性ポリエチレンで覆って絶縁した
電線を使用しますが、送電線(電柱ではなく鉄塔の電線)では導体のまわりを絶縁していない
裸電線(銅心のアルミより線)を使用します。
ケーブル
絶縁電線の外装を、塩化ビニルや耐熱性ポリエチレン、天然ゴムなどでさらに保護して、導体と導体のまわりを覆う絶縁体に外部からキズが付かないように加工してあるものです。
※絶縁体・・・電気を通しにくい物質のこと
このように、電線とケーブルは電気を通す導体と電気を通さない絶縁体の2種類で作られており、
ケーブルは導体のまわりの絶縁体をさらにシースで覆ってあります。
したがって、電線とケーブルの違いは、導体のまわりの絶縁体(被覆)をシースで覆ってあるか
覆っていないかの違いなのです。
電線のつくり
配線工事で使用する絶縁電線には、以下の2つの種類があります。
◆単線・・・1本の銅線からなるもの 直径(mm)
◆より線・・・数本の銅線(素線)をより合わせたもの 断面積(mm²)
より線の方が柔らかくて、配線の取り回しがしやすく、銅線のまわりは、感電や漏電をしないように、
絶縁体で覆われています。
銅線を覆っている絶縁体の種類と最高許容温度は以下の表をご覧ください。
絶縁体 | 最高許容温度 |
ビニル | 60℃ |
耐熱ビニル | 75℃ |
ポリエチレン | 75℃ |
架橋ポリエチレン | 90℃ |
一般的に使用されるビニルの最高許容温度が60℃で、さらに耐熱に耐える素材が
架橋ポリエチレンで、許容温度が最も高い90℃まで耐えることができます。
電線・ケーブルの種類
電線やケーブルは、導体の材質(軟銅線・硬銅線)の違い、導体の芯線の構造(単線・より線)の違いがあるので
種類がさまざまあり、使用場所や使用目的によって使用する電線やケーブルが異なります。
屋外には屋外用の電線・ケーブルを使用し、屋内には屋内用の電線・ケーブルをを使用します。
※電線をそれぞれの使用目的以外の場所で使用すると、耐久性などの問題から絶縁被覆が劣化する恐れがあります。
以下の表に、電線とケーブルの種類をまとめました。
電線
屋内用と屋外用で、種類が分かれています。
電線の種類 | 記号 |
用途 |
|
600Vビニル絶縁電線 | IV | 屋内配線 導体:軟銅線の単線 許容温度:60℃ |
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600V2種ビニル絶縁電線 | HIV | 耐熱を必要とする屋内配線 導体:軟銅線 許容温度:75℃ |
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引込用ビニル絶縁電線 | DV | 架空引込電線 導体:硬銅線のより線 |
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屋外用ビニル絶縁電線 | OW |
架空電線路 |
ケーブル
ケーブルの種類 | 記号 | 用途 | |
600Vビニル絶縁 |
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VVF |
屋内・屋外・地中 |
600Vビニル絶縁 ビニルシースケーブル丸形 |
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VVR | 引込口・屋内・屋外・地中 導体:軟銅線の単線 許容温度:60℃ |
600Vポリエチレン 絶縁耐燃性 ポリエチレンシースケーブル平型 |
EM-EEF |
屋内・屋外・地中 |
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600Vポリエチレン 絶縁ビニルシースケーブル |
|
CV |
屋内・屋外・地中 |
MIケーブル |
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MI | 耐水・耐熱・耐湿・耐燃・耐油・耐候性に優れ、高強度 銅線と外装間に酸化マグネシウムなどの 剥い室の絶縁体が充填されている 外装には、金属が使用される |
キャブタイヤケーブル |
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CT・ VCT |
移動用配線 制御回路用として使用する 導体:軟銅線のより線 |
※記号のEM(エコマテリアル)とは、耐燃性を有しており燃やしても有毒ガスが発生しないということ
コード
電気を熱として使用する電気器具に使用することができない電線
名称 | 器具 | 内容 |
平形ビニルコード |
扇風機などの一般的な電化製品 |
|
ゴム絶縁袋打コード | こたつやアイロンなど 導体:軟銅より線 絶縁体:ゴム混合物 |
電線の接続条件
電線の接続が不完全だと、ジュール熱により接触不良部分が過熱し、火災などの原因となる。
電気設備の技術基準の解釈第12条には、電線の接続条件が下記のように定められている。
✅電線の電気抵抗を増加させないこと
✅電線の引張強さを20%以上減少させないこと
✅接続部分には、リングスリーブや差込形コネクタを使用するか、またはろう付けすること
✅ビニルテープなどの絶縁効力のあるもので十分に被覆すること(差込コネクタの場合は除く)
✅コード相互、ケーブル相互、たまはこれらを相互接続するときはコード接続器、ジョイントボックス等を使用する