MCCB(配線用遮断器)とは
MCCB(配線用遮断器)とは、電路を遮断する装置です。
電気設備では何かしらの要因で異常電流が流れることがあります。
異常電流は非常に大きな電気ですので、電線が耐えられません。
MCCB(配線用遮断器)が電路を遮断することにより、電線を保護することができます。
また、電気は逆流することもあります。
異常電流が負荷で発生すると、その異常電流が一次側へと流れていってしまいます。
MCCB(配線用遮断器)が無ければ、配電盤、受変電設備へと電気が逆流してしまい、建物全体の電気設備が
落ちてしまいかねません。
もっと大きくなると、異常電流が電柱の電線を通り、他の建物の電気設備に影響をきたす可能性があります。
MCCB(配線用遮断器)があることにより、異常電流を遮断することができます。
異常電流を遮断するので、建物全体に異常電流が広がることを防ぐのです。
1.MCCB(配線用遮断器)と断路器・開閉器の違い
似た装置として「断路器」や「開閉器」というものがあります。
それぞれ電路を遮断するものですので、意味合いとしては同じです。
では、違いがなにかというと、それは遮断できる電流の種類です。
■ 断路器:負荷電流の流れていない電路を遮断する
■ 開閉器:負荷電流の流れている電路を遮断する
■ MCCB(配線用遮断器):全ての種類の電流を遮断する
2.MCCB(配線用遮断器)とMCBの違い
MCCB(配線用遮断器)とMCBの違いは、大きさです。
MCCB(配線用遮断器)を英語表記にすると、
配線用遮断器 = Mold Case Circuit Breakerの各単語の頭文字をとって略したものが MCCB になります。
MCBは正式に Miniature Circuit Breaker (ミニチュア・サーキット・ブレーカー)と呼ばれています。
上記のMCCBの小型のブレーカーということになります。
MCCB(配線用遮断器)は店舗やオフィスビル、ホテルや体育館など幅広い場所で活用されます。
たいして、MCBは家庭用の遮断器になります。
※ 小さい電気(家庭用)の遮断に使用されるのが【 MCB 】
それ以外は【 MCCB(配線用遮断器) 】と考えましょう。
3.MCCB(配線用遮断器)とELCBの違い
MCCB(配線用遮断器)とELCBの違いは、漏電を遮断するかしないかです。
ELCBとは、漏電用遮断器です。その名の通り「漏電を防ぐ」という目的で作られたのがELCBです。
MCCBは漏電を検出することはできません。
例として、電線に傷がついていた場合、そこから電気が漏れてしまいます。
これが漏電で、人に感電してしまったら大きな事故に繋がる危険があります。
これを防ぐのが、ELCBなのです。
■ MCCB(配線用遮断器):水気の無い場所に採用
■ ELCB(漏電用遮断器):水気のある場所に採用
4.MCCB(配線用遮断器)の定格
MCCB(配線用遮断器)の定格には「 AF (アンペアフレーム) 」と「 AT (アンペアトリップ) 」があります。
■ AF (アンペアフレーム)とは、遮断器の大きさ
■ AT (アンペアトリップ)とは、遮断器がトリップ(遮断)する時の電流の大きさ
例として、20ATのMCCB(配線用遮断器)があったとして、負荷に20A以上の電流が流れると
MCCB(配線用遮断器)が電路を遮断するということです。
AF (アンペアフレーム)の定格
◆ 30AF |
AT (アンペアトリップ)の定格電流
◆ 3AT |
5.MCCB(配線用遮断器)の選定方法
MCCB(配線用遮断器)の選定方法は、定格の80%に負荷を収めるです。
例えとして、想定される負荷が80Aだったとしてその場合100ATの遮断器を選定するという感じで
負荷よりも大きい定格電流の遮断器を選ぶ必要があります。
コンセントなんかでは、想定される負荷の予想が付きづらい場合もあります。
例えば、20Aの負荷が4つで80Aだったとして100ATのMCCB(配線用遮断器)を選定すると、余分になります。
何故なら、それぞれの負荷が同時使用されるとは限らないからです。
そのあたりは、「 需要律 」という考え方で、その場その場で想定負荷を計算する必要があります。
また、MCCB(配線用遮断器)はATだけでなく、AFも考えなければなりません。
単純にATが大きくなれば、AFも大きくなります。しかし、ただ盤の中の不ペースにも限りがありますので
MCCB(配線用遮断器)が入る盤のスペースの確認も必須となります。
まとめ
1. MCCBとは、電路を遮断する装置
2. MCCBとMCBの違いは、大きさ
3. MCCBとELCBの違いは、漏電を遮断するかしないか
4. MCCBの定格、上章参照
5. MCCBの選定方法は、定格の80%に負荷を収める